リファラル採用の注意点とは?トラブル事例と解決策を解説!!
昨今、リファラル採用を取り入れる企業が増えてきています。
新しい採用手法なので、導入するかどうか迷っている採用担当者も多いのではないでしょうか?
リファラル採用は安易に始めてしまうとトラブルが発生しやすいので、しっかりと対策を練ってから始めるのをおすすめします。
そこで、今回はリファラル採用の概要、導入方法、注意点などを解説していきたいと思います。
1.リファラル採用とは
リファラル採用とは社員が自分の知人や大学の後輩などを自社に紹介して採用過程に進む採用手法のこと。社員がすすんで紹介できるようにインセンティブ(報酬制度)を制定していることが多いです。
まずは、そのインセンティブの種類、リファラル採用のメリット、デメリットについてみていきましょう。
1-1.インセンティブ(報酬制度)
リファラル採用のインセンティブは紹介した知人の採用が決まったら謝礼金を払う、または休暇を与えるなどの報酬を与える制度です。
採用が決まらないと報酬は発生しないので、不採用だった場合は知人との連絡に要した時間や会食費などが無駄になってしまいます。
そこで、プロ人事がおすすめしているのがリファラル会食。
リファラル会食とは、紹介したい知人を誘った会食費を会社が補助する制度です。
人間には、もらえるかどうかわからない未来の報酬よりも、確実にもらえる目先の報酬を優先するという心理が働きます。
行動経済学で”現在志向バイアス”と呼ばれるこの心理を利用したのがリファラル会食です。
現在志向バイアス:将来に得られる価値と今すぐ得ることができる価値を提示された場合に後者を選んでしまう人間に心理のこと
紹介した人が採用でも不採用でももらえる補助金なので、「誰か職を探している人がいたら会社の補助金を使って食事に誘ってみてもいいかな」と思ってもらいやすく、リファラル採用できる可能性も高くなります。
もちろん会社の予算にもよるのですが、プロ人事ではリファラル会食費としてランチ3000円、ディナー5000円程度をおすすめしています。
リファラル採用は社員が誰か紹介してくれないと始まらないので、どれだけ社員のモチベーションを上げられるかが重要になってきます。
久しぶりに会う知人と少しリッチな食事ができるなら会社の採用に協力してもいいかなと思える金額がこれぐらいではないでしょうか。
1-2.メリット
- 採用コストが低い
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リファラル採用のメリットはなんといっても採用コストが低いことでしょう。
うまくいけば数万円以内で優秀な人材を採用できることもあります。
- 転職潜在層にアピールできる
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求人広告や人材紹介に登録している人は転職に対して積極的な人ばかりです。
今の仕事で十分に活躍できている優秀な人材はそういったところでは出会えません。
優秀な社員の周りには優秀な人材がいるという話があります。
リファラル採用を導入すれば、自社の優秀な社員が今までの採用手法ではたどり着けなかった人材を連れてきてくれることもあるでしょう。
- ミスマッチが少ない
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実際に働いている社員が会社紹介や業務内容を説明するので、入社してからのミスマッチが少なくなります。
気心しれた仲であるからこそ、良いところだけでなく会社には聞きにくいことなども話せるでしょう。
リファラル採用のメリットとして、社員が採用に関わることでエンゲージメントが向上するということを挙げているサイトもありますが、そこはあまり期待しない方がいいでしょう。
リファラル採用はあくまでも知人を会社に紹介する制度であって、経営者側の視点に立って採用計画の一旦を担うものではないからです。
1-3.デメリット
- 人間関係のフォローが必要
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既存社員の知人が入社するということで、他の採用手法で採用したときよりも採用後のフォローが必要になってきます。
後述しますが、リファラル採用のトラブルのほとんどが人間関係にまつわるものです。
また、採用に至らなかった場合も何かしらのフォローが必要になるでしょう。
ここを怠るとリファラル採用自体の評判が悪くなってしまいます。
- ルール作りが難しい
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リファラル採用は全て自社で完結するので、これといった制約はありません。
その代わり、一からルールや申請書類を準備する必要があります。
あらゆるケースを想定して対策を練れるかがポイントなのですが、成功例などの情報が少なく難しいこともあるでしょう。
- すぐに結果は出ない
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リファラル採用は社員任せになるので、すぐに結果が出るものではありません。
リファラル採用ありきで採用計画を立てるのは危険です。
他の採用手法と併用しながら、補助的な位置づけで運用していくのがいいでしょう。
1-4.類似する採用手法との違い
縁故採用
縁故採用は重役の親戚や知り合いを無条件に入社させることで、リファラル採用は社員が推薦した人材が採用基準を満たしていたら入社させます。
縁故採用は通常の採用過程を通らないことがほとんどですが、リファラル採用では採用か不採用かを見極めるフローが入るところが大きな違いとなります。
スクラム採用
リファラル採用と混同されやすいのがスクラム採用です
スクラム採用は人事部だけでなく、経営部門や現場も一丸となって採用を行っていこうという考え方のことです。株式会社HERPが提唱したもので、ラグビーのスクラムのように社員全員ワンチームとなって採用していこうというものです。
スクラム採用のやり方は確立されているわけではないのですが、リファラル採用も採用担当以外の社員が採用に携わるのでスクラム採用の一種といえるでしょう。
1-5.リファラル採用の報酬制度は違法か?
リファラル採用で採用に至った場合、紹介した社員に報酬を支払う場合は注意が必要です。
職業紹介をして対価を得るには厚生労働大臣の許可を得なければいけないと職業安定法に規定されているからです。
ただし、同じ職業安定法に賃金・給料またはこれらに準じるものを支払う場合は免除されるという旨の記載もあります。
つまり、給料に上乗せして報酬を与える場合は違法にはなりません。
あまりにも高い報酬や、反復継続して職業紹介に対する報酬がある場合は違法と判断される場合もありますので注意してください。
2.リファラル採用の導入手順
では、実際にリファラル採用を導入する際の手順を見ていきましょう。
まずは、社員が知人を紹介しようと思ったときに、どのような手順を踏めばいいのかを決めましょう。
担当窓口はどこにするか、申請書に記載してもらう項目などを決めます。
リファラル会食を導入するときは、金額だけでなく、事前申告のみ許可するか、事後申告まで含めるか、回数制限を設けるかなども決めていく必要があります。
次に採用に至った場合のインセンティブの金額や付与の時期、経理部門との調整などが必要でしょう。
採用・不採用後のフォローを誰がどのように行っていくかも大事です。
せっかく会議を重ねて準備万端な制度が整っても社員がその制度を知らなければ利用してもらえません。
社内メールや社内報などで紹介するのはもちろん、説明会や質疑応答の場を設けましょう。
社員全員に周知する前に、少人数でまずはスタートさせてみて、課題点などをあらかじめ把握するのもおすすめです。
いくつかリファラル採用で採用できたら、実例を紹介しましょう。
実際に制度を利用した社員の声は信用できますし、自分にもできそうだと思ってもらえるはずです。
良いところだけでなく、課題点もあえて公開し、改善案も合わせて掲載するといいでしょう。
3.リファラル採用のよくある課題
リファラル採用を導入する上でよくある課題についてみておきましょう。意外と見落としがちなももありますので、あらかじめ把握しておくことで、未然にトラブルの発生を防止をしておくようにしましょう。
- リファラル採用制度が認知されていない
-
導入当時は説明会などを行っても、しばらくすると忘れ去られてしまうのはよくあることです。
入社時に説明する、定期的にお知らせメールをするなど根気強く周知していきましょう。
それでも周知が進まない場合は、評価制度に組み込むという方法もあります。
ただ、ノルマ化してしまうと応募者の質が下がる可能性もあるので、注意が必要です。
- 社員が面倒くさがってリファラル採用を行ってくれない
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日々の業務でも手一杯なのに、採用も手伝ってほしいと言われてもなかなか難しい社員も多いでしょう。
採用担当側は、”忙しい社員に手伝ってもらう”という気持ちを持って、申請フローを簡略化するなどの配慮をしましょう。
インセンティブなどの報酬だけでなく、優秀な人材が入社すれば、会社だけでなく自分も助かるなどのメリットを強調するのも大事です。
実際にリファラル採用を利用した社員に課題点などをヒアリングするのもいいと思います。
5.リファラル採用のトラブル例
リファラル採用は社員の知り合いを採用するという性質上、人間関係のトラブルが起きやすいです。以下によくあるトラブルと改善策を紹介していくので参考にしてください。
5-1.紹介者が退職するタイミングで採用した応募者も辞めてしまった
紹介者が何らかの理由で退職してしまうこともあるでしょう。
そのときに、採用した応募者もモチベーションをなくし一緒に辞めてしまうケースがあります。
仕事ではあまり関わらないようにそもそもの人員配置に気を配ったり、第三者によるフォローアップで回避できます。
仲の良い友達がいることだけが仕事へのモチベーションにならないように、フォローしてあげるといいでしょう。
5-2.応募者の不満に触発されて紹介者も応募者も辞めてしまった
応募者と紹介者は元々仲が良いので、プライベートで話すことも多いです。
職場が同じだと仕事の愚痴で盛り上がることもあるでしょう。
紹介者が今まで当たり前だと思って我慢していたことが、実は外から来た人からしたら当たり前ではないことを知り、転職の話が盛り上がり、そのまま二人とも退職してしまうケースも少なくありません。
プライベートの交流を制限することはできないのでなかなか難しいのですが、応募者だけでなく紹介者に対しても第三者の定期的なフォローアップを行い、仕事に対する不満などをヒアリングすることである程度回避することができます。
5-3.応募者を不採用にしたらリファラル採用の評判が悪くなった
リファラル採用で不採用になることもあるでしょう。
紹介者からしたらせっかく大事な知人を紹介したのに受け入れてもらえなかったと不満が募るかもしれません。
リファラル採用で嫌な思いをしたと社内で吹聴されれば、リファラル採用自体の評判が悪くなってしまいます。
不採用になったときは、なぜ不採用になったのかを応募者だけでなく、紹介者にも丁寧に説明することを心がけてください。
理由としては「あなたに何か足りないわけではなくて、~という理由でうちの会社とは合わないという判断になりました」と説明するのがいいでしょう。
採用したい人材の要件や、不採用になる可能性を社員にあらかじめ周知しておくことも大事です。
リファラル会食制度の場合は、採用通知後の会食費も補助するというのもわだかまり解消に一役買うでしょう。
5-4.紹介者よりも応募者の方が年収が高いことがわかり両者が気まずくなった
優秀な人材に来てもらおうとすると、どうしても今の年収より下げることはできないので、結果的に紹介者よりも年収が高くなってしまうこともあります。
自分よりも優秀で経験がある人材を紹介した場合は別ですが、自分と同じようなスキルや経験値を持った人や後輩を紹介した場合、自分より年収が高いというのはよく思わないでしょう。
都合の悪いことは先に丁寧に説明した方が大事にならないので、採用が決まった時点で紹介者と応募者に年収に差が生じてしまったことを説明するようにしましょう。
▽リファラル採用導入は慎重に
リファラル採用における課題やトラブルを見てきましたが、他の採用手法と比べてかなりデリケートに扱わなければいけないことがおわかり頂けたかと思います。
あらゆるケースを想定して、フォロー体制を整えてから導入しましょう。
また、リファラル採用は社員の周りの人を紹介してもらうので、必然的に候補者数に限りがあります。
リファラル採用を導入すれば、行き詰っている採用を何とかできるかといえば難しいでしょう。
あくまでも補助的な役割としての導入をおすすめします。
うまくいっていない採用の起爆剤を探している場合は、次に紹介するダイレクトリクルーティングをおすすめします。
▽ダイレクトリクルーティングをはじめよう
ダイレクトリクルーティングはダイレクトリクルーティングに登録している人のプロフィールや経歴を見て、企業が直接コンタクトを取ってスカウトする採用手法です。
従来の求人広告や人材紹介のように企業がただ応募者を待っているだけでは採用が難しくなってきた今、企業が直接就職希望者を探しにいく”攻めの手法”として注目されています。
複数の企業がダイレクトリクルーティングサービスを運営しており、新卒採用向け、中途採用向け、管理職向け、専門職向けなどがあるので、目的に合わせたサービスをうまく運用できれば行き詰っていた採用の突破口となるでしょう。
さらに、今では転職意欲がまったくない人にもスカウトメールが送れるサービスまで登場しており、従来の採用手法では出会えなかったターゲット層にアピールできる機会を創出できます。
▽ダイレクトリクルーティングは委託運用がおすすめ
ダイレクトリクルーティングは自社で候補者を探すところから始まるため、従来の採用手法に比べてかなりの工数がかかります。
また、まだ比較的新しい手法なので成功例やノウハウを見つけにくい状況です。
実際、ダイレクトリクルーティングを自社で運用して効果を上げている企業は多くありません。
そこで、おすすめしたいのがダイレクトリクルーティング運用代行です。
ダイレクトリクルーティングの運用を代行するサービスをスカウト代行とも呼ぶのですが、プロ人事でもスカウト代行を行っています。
いくつもの企業の採用を成功させてきた採用コンサルティングがいるプロ人事ならではのノウハウを駆使して、ダイレクトリクルーティングの運用を行います。
今の採用戦略に限界を感じている採用担当者の方こそ、スカウト代行を検討して頂きたいです。
今なら、初回商談後に自社の採用能力を評価した採用診断表をお渡ししています。
自社の採用力を客観的に見れる良い機会ですので、ぜひご相談ください!
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