新卒採用のダイレクトリクルーティングサービス媒体の選び方、スカウト代行会社が解説
ダイレクトリクルーティングといえば中途採用を思い浮かべがちですが、昨今では新卒採用でも利用をする企業が増加しております。
ダイレクトリクルーティング媒体でも新卒を対象としているものが増加しており、どのようなサービスを利用するか悩む企業も少なくありません。
今回は、新卒採用のダイレクトリクルーティングサービス媒体の選定ポイントについてスカウト代行会社が解説いたします。
1:ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングサービスとは、候補者が企業に対して就職活動をする従来のものではなく、企業が候補者に対して直接アプローチ(=スカウト)する比較的新しい手法です。
このダイレクトリクルーティングの手法が注目をされるようになってきた背景として、少子化が進み人材市場が縮小していることや、売り手市場が継続しているという事情から人材獲得競争率が上がっている事が挙げられます。現在、新たな採用手法として導入する企業が増加しました。
ダイレクトリクルーティングとは、一言でいえば企業が候補者に対して直接アプローチすることができる手法です。
従来の採用手法は、企業が求人広告を掲載し応募があってから選考に入るといったもので、企業は【待ち】の姿勢をとっていました。
これに対して、ダイレクトリクルーティングでは企業が直接、自社が欲しい人材に対してスカウトメール(オファー)を送ることになるので、企業は【攻め】の姿勢を取ることが可能になります。
アプローチの方法として、企業はダイレクトリクルーティングサービスを運営する会社と契約をして、候補者の中から、自社にマッチすると思われる候補者に対して「スカウトメール」を送信していきます。
「スカウトメール」の書き方やノウハウなどの詳しい説明につきましてはこちらの記事をご覧ください。
新卒・中途どちらのサービスにしても数字やメリット・デメリットなどで単純な比較をすることはできますが、本当に自社に合っているかを見定めるにはそれぞれのサービスを詳しく知る必要があります。
ぜひ以下の記事によって自社にマッチするサービスを見つけ出してください。
2:新卒・中途向けのサービスの違い
新卒採用向けのサービス媒体は、つまり学生向けであることから、学歴やガクチカ(学生時代に力を入れてきたこと)を書くスペースが設けられています。
一方では中途採用向けのサービス媒体は、今まで就業していた会社での年収・主な経歴などを書くスペースが設けられています。
企業はまず初めに新卒を取りたいのか・中途を取りたいのかでサービス媒体を絞り、そこから会社に合ったサービスをさらに絞っていく形になります。
「スカウトメール」の作成に関しても新卒向けなのか中途向けなのかで大きく変わるので、注意が必要です。
3:新卒採用向けサービス媒体紹介
3-1:Offerbox
Offerboxを運営しているのは株式会社i-plugで、新卒採用のオファー型のサービスではNo.1のサービス(2022年7月現時点)となっており学生からも最も多く認知されています。
実際に、2022年7月時点で登録している学生数は180,000名を突破し就活生の約3人に1人が利用している計算になります。
2020年卒実績では実際にプロフィールを8割以上入力していると、オファーをもらえる確率は脅威の ”93.6%”となっており、数字から見てもその実力は圧倒的です。
料金体系は基本的に成功報酬型です。
採用の年度によって大きく変動するため一概にはいえませんが、21年度卒を採用したい場合には、一人採用するのに38万円と設定されていました。
2021年3月期i-plug決算説明資料によると、学生登録人数および企業登録数は年々増加しており、サービスの充実・拡大が窺えます。
学生月間アクティブユーザー数においてもやはり3月がピークでその後は減少するのは致し方ないが、2021年卒に比べても2022年卒は大幅に数が増加していることがわかります。
またOfferboxでは、企業側の契約プランごとにオファーを送ることができる件数が決まっています。
つまり、多くオファーを送りたいのであれば、高い金額のプランに申し込んだりオプションをつけたりする必要があります。
また、企業側に送信数の制限があるように、学生の方にも受信できるオファーの数に制限がかかっています。
学生の場合は、登録する内容の量に応じて、受信数が開放される形になるので、OfferBox内での活動を積極的に行うように促すシステムの構築がなされています。
企業側にとって必要な学生の情報が言わずもがな補充されていくため、判断要素が非常に豊富で、利用しやすくなっています。
Offerboxを利用する上での注意点としては、登録している学生数が多く、それに伴って利用している企業も非常に多いため、ライバル企業の数も多くあるという点です。
3-2:Wantedly (ウォンテッドリー)
Wantedlyは登録会社数が40,000 社以上(2022年7月現在)にものぼります。
新卒だけでなく中途採用でも利用できるサービスです。
しかしWantedlyの募集は給与・待遇の記載がNGであるため、中途で利用しているユーザーはその点では利用しにくくなっています。
給料や待遇などの条件ではなく、やりがいや環境で企業と求職者をマッチングし、仕事を自己実現の場と捉える若手優秀層へとリーチできる採用広報ツールです。
Wantedlyを利用する学生は「共感で人や企業とつながり、シゴトでココロおどろう。」というコンセプトに基づいて登録しています。
特徴的なのは、そのコンセプトから転職潜在層(そのため転職するつもりがない人)にとってもいい意味で気軽に片手間に情報を見ている点です。
学生は気になる募集内容があるとスーツを着て練習をしてから面接に行く、というわけではありません。
硬い面接ではなく比較的ラフなカジュアル面談という形をとれるため、会ってみるだけだったのに突然面接が始まるといったケースもほとんどありません。
学生にとっては、面接という判断される環境で会う必要がなくなります。
それによって会社の雰囲気を正しく見極めることができるようになります。
そして就職活動の前段階である「多くの情報を収集したい」というような状況においては非常に効率的でサービスにフィットしているため、300万人(2022年7月現在)までもに登録者が増加しています。
また、スカウトメールの返信率は5通に1通で、かなり高い割合で返信があります。
前述の通り新卒・中途の両方がユーザーにいますが、登録者数は20〜30代が多いです。
2021年8月Wantedly決算説明資料によると、職種別構成比ではユーザーの3割強がエンジニア、年齢別構成比では20-29歳が半数近くを占めています。
Wantedlyは若く優秀な人材を求めるIT観点のスタートアップ・ベンチャー企業にはうってつけのサービスです。
料金体系は、支払いサービスを一定期間利用することができるサブスクリプション型となっています。
ライト・ベーシック・プレミアムの3つに区分され、それぞれのプラン別に管理画面に入れる人数、ダイレクトスカウト機能が使えるか、スカウト返信率などの内容が変わっていきます。
3-3: dodaキャンパス
dodaキャンパスはベネッセi-キャリアが運営するサービスです。
ベネッセi-キャリアは「株式会社ベネッセホールディングス」と人材紹介会社の大手である「パーソナルキャリア株式会社」が共同で設立した会社です。
2021年5月時点の大学1年生〜4年生で登録している学生数は35万人以上にのぼり、国内では非常に規模の大きいデータベースになっています。
利用企業数も大手からベンチャー企業まで6,800以上(2022年7月現在)あり、新卒採用のダイレクトリクルーティングサービスの中でも人気なサービスです。
dodaキャンパスでは就活生に対してアプローチすることができるだけでなく、低学年である大学1〜2年生に対してキャリア形成イベントやインターンシップのオファーをすることができます。
低学年層への企業の認知を拡大することが可能であり、知名度の低い会社にとって自社の存在を早い内から知ってもらえるという点は大きなメリットといえます。
企業のキャリア形成イベントやインターンシップへの参加までは至らずとも、企業の名前を認識させるという意味では非常に有効です。
料金体系としては、「定額制」と「成功報酬型」の2つの体系に分かれています。
「成功報酬型」では、学生が就職活動を開始してからすぐの段階で利用することができる「早期成功報酬プラン」と就職活動が本格化する大学3年生から利用をすることができる「成功報酬プラン」に分かれていきます。
「定額制」では、採用人数上限ごとに料金が変わってきますが、対象年度の学生が卒業するまでの期間中は定額でオファーをすることができ、追加費用が一切かかりません。
offerbox同様、dodaキャンパスは利用している企業数が多いため、採用競合する会社も多いので、サービスを利用する際には他社との差別化を意識していく必要があります。
3ー4:キミスカ
登録学生数は2022年卒・2023卒を合算して18万人以上にのぼり、その約半数は国公立やGMARCHが占めておりますので、サービスに登録している意欲もあわせて考えると優秀な学生の採用がしやすいといえます。
利用している企業数は1,820社(2022年7月現在)となっており、他のダイレクトリクルーティングサービスに比べると、利用者数は少ないのですが、単純に計算すると1社につき約100人の学生とマッチングすることができます。
他の大手サービスとは違って、競合する他社の数が比較的少ないので、特に中小企業にとっては大きなメリットです。
またキミスカは検索の項目は出身大学や自己PR、部活はもちろんのこと適正検査の結果から適正な職種、開発経験などその数は30種類以上あり、豊富な学生から自社にマッチする人材を検索することができます。
キミスカの一番の特徴としては、学生に対する興味の段階に合わせて「気になるスカウト」「本気スカウト」「プラチナスカウト」の3種類が用意されています。
これら3種類を使い分けることで学生に対して効率良くアピールすることができます。
料金体系は、「成功報酬型」「5ヶ月プラン」「年次利用プラン」の3つに分かれています。
3-5:LabBase
登録している学生数は34,000人以上、利用企業数は300社(2020年8月時点)です。
毎月1,000件以上の研究室訪問によって登録学生を増やしており、その登録学生数は毎月500人以上増えています。
その特徴は、全国の研究室6,196ヶ所と連携しており、全国の理系学生を網羅しているので、他の求人サイトには登録していない理系学生もLabBaseを利用しています。
理系学生を採用したい企業にはぴったりのサービスです。
また、LabBaseは国公立大学・MARCH以上の学生が80%以上を占めており、他の採用媒体ではアプローチすることができなかった優秀な学生層に対してアプローチする機会があるのも大きな強みとなっています。
登録学生の専門分野も様々で、1番多いのは機電系37%、次に情報系21%、化学系20%と続きます。
その他にも生命科学、農学、土木、医・歯薬などの学生が登録しています。理系学生はほとんど網羅しています。
現代の動向からITエンジニア人材の需要が高まっていることを考えると、ITエンジニア人材を採用したい企業にとってLabBaseは活用必須のサービスになってきています。
また、LabBaseに登録しているユーザーの他社サービス利用状況を見ると、「LabBaseのみを使っている」という学生が44%も存在しています。
それだけ理系学生が他の就活媒体を利用しておらず、研究室訪問によって獲得していることがわかります。
また、理系採用に特化しているのは、登録者を理系学生に限定しているというだけでなく、プロフィールや検索項目も理系採用に合わせたものになっています。
プロフィールでは「研究概要」「研究の意義」「研究を選んだ理由」「研究から学んだこと」等、どんな研究をしていたかを記載するのは基本です。
それに加えて考え方や研究をはじめた動機など、学生の人間像を見ていくことが可能となっています。
検索項目に関しても「研究キーワード」や「プログラミングスキル」などの観点も検索することができるので、企業が採用したい学生を探しやすいものになっています。
毎年理系学生の採用難易度は上がっているので、優秀な理系学生を採用したいという企業や、従来の採用媒体では理系学生の獲得がしにくい企業には、オススメのサービスです。
3-6:iroots
irootsは2011年にサービスを開始しており、その一番の特徴は「企業完全審査制」をとっていることです。
企業はirootsが規定した基準をクリアしていないとサービス利用することができません。
その基準については以下の3つとなっています。
- 本業主観正義性
- 会社の成長性・将来性
- 20代の成長環境
①本業主観正義性は、本業の商品サービスで自社が問題だと捉えている社会の状況を解決しようとしていて、その企業のサービスや商品に自分なりの正義感が込められているかという内容です。
②会社の成長性・将来性は、独自性のある商品・サービスを持ち、収益の基盤があるかという内容です。
③20代の成長環境は、20代のうちにチャレンジングな仕事に挑戦することができるかという内容です。
また以上の基準に加えて、透明性の担保のために利用に際して、口コミプラットフォーム「Lighthouse(ライトハウス)」と連携を承諾する必要があります。
このような審査基準を導入しているのは、irootsでは学生と企業が「本音」でフィッティングするということを目的としているためです。
その現れの一つとしてirootsを利用する学生は6,000字にも及ぶ本音・詳細プロフィールを作成を求めてられています。
学生に赤裸々に本音を書いてもらうためには、学生からのirootsに対する信用が必要となるということで、信用性確保の一環として上記のような審査基準を設けています。
審査基準の判断要素は定量的には会社の決算書、事業報告書を提出してもらい、参考にしているようです。
前述にもあるように、アイルーツでは本音・詳細プロフィールや、6,000社以上、90万人以上が活用した性格・価値観診断を標準搭載しています。
したがって、自社にマッチする学生をピンポイントで探すことが可能となっています。
費用については、シーズンやニーズごとに提案プランを用意しているため、非公開となっておりますので公式サイトからでのお問い合わせが必須となっています。
4:まとめ
新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスの選び方として6つのサービスを紹介しました。
料金や使い勝手、登録学生数などの数字は選ぶ上でもちろん大事になりますが、数字や単純な比較では本当に自社にマッチしたサービスなのかはわかりません。
本記事を参考にして、ぜひ詳しいサービス内容まで徹底比較・検証してみてください。
また少しでも行き詰まった際には私たち「株式会社プロ人事」までご相談ください。
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